脱イライラ

イライラの原因を探る.もちろん実験が上手くいかないことが何よりの原因だが,僕のイライラを更に増幅させているものは,上の文章を見れば明らかである.
1.ゴールが見えてるのに近付いてこない.
 ⇒それならゴールを意識しないようにしよう.

2.今の実験が実験のための実験に過ぎず,仮に成功しても研究データは一つも増えない.
 ⇒それでもこの問題をクリアしなければ前には進めない.そして僕は前に進みたい.進めるなら何でもいいし何でもする.

3.最後の最後でスランプ
 ⇒でも,今までやってきた研究に,スランプのない研究はなかった.結局,登らなければならない山.

要するに,今の事態を余計にイライラを募らせるような文脈から外してしまって,脱構築してしまう.仏教的に言うなら「空じ」てしまう.そして新たな文脈に置き換える.色即是空 ⇒ 空即是色.

そして今朝から再び実験室で手を動かしながら,自分が初心に帰っていくのを実感した.大学四年のときはスランプの連続だった.実験に関する知識もスキルも不十分で,先輩や教官の助言も悉く的を外れたために,「もうこれ絶対上手くいかんのちゃうん」とか思いながらも徹夜と失敗を繰り返していた.学会発表の締め切りが迫ってきた時に,流石に担当教官が見かねて手伝ってくれたのだが,それも失敗に終わり,教官も「これはもうアカンな」と諦めた.でも何故かその瞬間に一つのアイデアが閃いて,
「最後にもう一回やってみます」
と言ったら「いや,もうええで.ウチに帰って休み.」と言われ,でも何故か絶対の自信があったので
「大丈夫です.絶対上手くいきますよ」
と言い切ってしまった.そして,そのラストチャンスに,本当に綺麗なデータが出てきたのだった.
「言ったでしょ,上手くいくって」
担当教官の僕に対する評価はその時に決定的となったようなのだが,自分から見栄を切ったとは言え,心の中では思いっきりガッツポーズをしていた.


と昔を振り返ってみると,今のイライラの原因なんて本当に小さく思えてきて,現在やる気満々.肩はパンパン.おのれ,年齢め.