読破

ビッグバン宇宙論 (上)

ビッグバン宇宙論 (上)

ジュンイチにせがんで貸してもらったんだが,めっちゃくちゃ面白かった.サイエンスとはそもそもどういうものであるかを,科学哲学をふまえた上で見事に面白く,分かりやすく解説している.重大な発見を成し遂げた人々(コペルニクスケプラーガリレオアインシュタインetc)の人柄やエピソードもふんだんに盛り込まれており,物語としても申し分ない.そう,科学とは,人間味溢れる主人公が数多くの困難を乗り越えた末に真実に到達するという「物語」となって,初めて人の心を掴むものだったりするのである.それが,名誉と栄光に溢れたサクセスストーリーにせよ,早過ぎた故に存命中は無視され続けたという悲劇にせよ….

同時に,新たな真実が発見された場合でも,他の科学者達は容易には新しい事実を受け入れられず,古い理論に固執すること,そして古い世代が退場してから新しい理論が一気に広がるところなど,「パラダイムシフト」を際立たせた書き方になっているのも素晴らしい.

それにしても,本書の冒頭で

「科学者が真実を追い求めるのは,ただ真実がシンプルで美しいからである.それが役に立つからではない.科学の発展が文明の発展に寄与したことはしばしばあるが,役立つ技術の開発はテクノロジーの仕事であり,テクノロジーは厳密には科学とは異なるものである.」

みたいなことが書いてあったのも吉.

そう,僕はテクノロジーには興味がないのだ.