変化への恐れ.

昨日の話に関連して.
人は,悪魔に取り付かれているんじゃないかと思うくらいすごく不幸で運もないという状況の時には幸せになりたいと心底願う.しかし,いざ自分が幸せになれるかもしれない,神様に祈りが通じたのかもしれないという状況になると,そのチャンスに飛びつくかというとそうではない.見知らぬ神が与えてくれたチャンスよりも,案外近くの悪魔の手を握ってしまうのだ.人間とは不思議なものである.

といって,実はそれほど不思議なわけではない.それは「変化への恐れ」だからだ.もしそのチャンスを掴もうとして失敗したらどうしよう,と思ってしまうものだからだ.

それまでの状況がどれほど過酷なものであったにせよ,人間はそういう「自分」というものに慣れ親しんでしまう.不幸な自分,ダメな自分,自信のない自分,etc...そして,そういう自分が「普通」になる.別に幸せじゃないけれど,これ以上傷つかない,これ以上不幸になることはないという,そういう「今の自分」にしがみついてしまうのだ.

今のままの自分なら,これから起る事態も予測できるし,その中では自分をコントロールできる.だが予測が付かないものを信じて傷ついたら,自分ではコントロールが出来なくなるかも知れない.その,コントロールを失うことに対する恐れが,「変化への恐れ」なのだ.

ここで気付かなければならないことがある.確かに,今のままでもこれ以上不幸になることはないかもしれない.だが大切なのは,「今,幸せじゃない」ということなのだ.