これも現実.明日は我が身か.

同僚のフェンが今年の4月いっぱいでジョージアを去ることになった.次の職もポスドクだが,今度は5年雇ってくれるらしいからしばらくは安心であろう.だが彼はジョージアに来て3年,結局自身が第一著者となる論文を一つも残すことが出来なかった.
そして彼がここを去るに当たって,元々彼のアイデアで始まった共同研究は僕一人のものとなり,彼が苦労して作った大豆の形質転換体も僕が引き継ぐ.また彼が自分の発案で大学院生にやらせていた実験も,僕が面倒を見ることになった.もしも彼があと1年ここに居れば,どの案件も彼がFirst authorになれたであろうに・・・逆に僕は,自分の名前で論文を書くチャンスが三つ,丸々転がり込んできてしまった.ラッキーだとは思うが,研究が時間との戦いであることを目の当たりにした感じだ.

もう一人の同僚Nathanも,このラボに来てから3年になるが,まだ論文になるほどの成果を得ていない.彼はこの先研究職ではなく,地方のカレッジで講師にでもなろうと思い始めているようだ.

別に,研究の世界が他と比べて特別厳しいものだとは僕は思っていない.それでもやはり,皆がハッピーになれるような甘い世界でもない.勝ち負けは存在するのだ.

別に,研究に負けても人生で勝つことは可能だし,勝つために研究に全てを注ぎ込んで人生で負けるようでは本末転倒だ.だが出来れば研究でも人生でも満足な結果を得たいと思うし,それを可能にする方法も存在すると思っている.