水曜日

ボスに言われてちょこちょこと追加実験をして,まあ望み通りのデータが出たわけなんだが...何というか,結果が良すぎた.今回の僕の発見は,ボスにしてみれば「25年の研究生活の中で,探し求めていたものにとうとう辿り着いた!」というようなシロモノになってしまったわけで,それこそ大興奮状態なのである.そして半年前から僕が何度も書き直してきた論文原稿を,「私が書きなおすわ!」という事態に.

いやまー文章力とかボスの方が明らかに上だし,僕的にはちょっと長くかかり過ぎててモチベーションが下がってきてることもあるので,まー書いてくれるんなら有難い,と思ってたわけですよ.
で,「とりあえず出来たわ!」と本日ボスが僕に送りつけてきた原稿を見てみれば...

...ビックリするほど酷い出来である.

あかん,あのおばはん,完全にイレコんでしもとる...

1500語という文字数制限の中に,あれもこれも詰め込もうとし過ぎている.キャリアも長いし経験も豊富,既に有名な論文だって幾つも書いてきたあのボスが,完全に冷静さを失っている.よっぽど強い思い入れを抱いてくれてるということだろうが...

25年,か...

そう,ボスにとってみれば,長い間探し求めていたものが,当に目の前で起こっているのだ.僕にとっては,最初に買った宝くじが大当たりしてラッキー,という感じに近いのだけど.これは本当に幸運なことだと思う.でも,何年も探し続けてきたものにようやく出会ったときの喜びは,今の僕には味わうことは出来ない.

どっちの方がより幸福なのだろうかと思いつつも,この原稿を何とかしなくてはならない,しかもボスを相手に何とかしなくてはいけないという現実には,全くもって打ちひしがれる他はない.合掌.