それは本当に善人?

「自分さえよければそれでいい」という人間も好きではないが,「自分が凹んでいる時でも,他人の幸せを願うことのできる人間になりたい」という考え方も,僕はあまり好きではない.理由は以下に記す通りである.
自分よりも他人のことを優先しようとする人にとって,誰か凹んでいる人から助けてもらうなんてことは,その「凹んでいる人間にさらなる負担をかけて,自分だけがいい思いをする」という,屈辱的な事態である.つまり,「自分が凹んでいる時でも他人のために云々」という行動は,「自分がされたくないことを,他人に対して行っている」ことに他ならないのだ.あなたが「凹んでいる人間を見たら助けたい」と思うなら,凹んでいるあなたを見た人間は,あなたを助けたいと思うだろう.凹んでいるあなたに幸せを願われても,相手はその状態を幸せとは思わない,というよりは思えない筈だ.
「自分が凹んでいるときも他人のために…」という言葉を平気で言えてしまうような人はむしろ,相手にとって本当にためになることは何か,相手が何を望んでいるのか,ということを殆ど考えたことがないのかも知れない.
僕は,そんな人間よりは,「他人と助け合える人間」になりたいと思う.