アメリカのやり方にアメリカのやり方で対抗しちゃマズいよね

とまーそんな話はさておき,今回はこの国が本気で物量作戦を展開してきたときの恐ろしさを目の当たりにしました.本当に,アメリカがサイエンスに注ぎ込む予算の額って日本とは桁違いなんだよね.例えば世界を騒がせた山中教授のiPS細胞の研究に日本は精いっぱいの予算を付けてるわけだけど,それでも16億円どまり.対してアメリカが同じ研究に掛けてる予算額は600億円.本当に桁違いでしょ? 別に,だから日本は科学技術にもっと投資すべきとかそういうことを言いたいんじゃないんだよね.物量作戦はアメリカという国が持つ特有の風土とか文化みたいなもんで,それに対して日本が同じ物量作戦で対抗しようって方がよっぽどムチャだと思うのです.でも物量作戦はやっぱりガサツで,今回のトウモロコシ関係の論文も,その規模の大きさに驚きはするものの,特に「面白い!」とか「これはうまい!」と思わせるようなところはあんまりないんですよね.言ってしまえば穴だらけなわけです.そういう細かい穴にこそ,アメリカ以外の人間が付け入るスキがあるってもんでしょ.

アメリカがプラットフォームを確立しようとしているところへ,日本がわざわざ無理して他の予算を削減してまで日本独自のプラットフォームを作ろうと競合するのは馬鹿げてるでしょう,やっぱり.プラットフォーム作りなんてお金の掛かる作業はアメリカに任せて,自分たちはそれを思う存分利用させてもらう,っていう発想があってもいいんじゃないでしょうかねぇ.人材流出を問題にする人もいるけども,例えば僕はこっちで2年半大いに成長させてもらったわけだけど,費用は全部アメリカもちですよ.日本にとっては1銭も使わずに人材育成をやってもらったことになるはずだと思うんだけどなー.ってゆーか中国は思いっきりそういう戦略を取ってますよね.新しく作った研究機関に,ハーヴァードやスタンフォードで学位を取った中国人を呼び戻してたり.

そして何より,別に日本が世界1位を目指す必要なんてないと思うんだよなー.湯水のように金と人材を注ぎ込んだ世界1位なんて当たり前すぎて誰も驚かないでしょ.別に5位とかでもいいから「あんな悪条件でよくこんな成果を出すよなー」って感心させることが出来れば十分カッコイイと思うわけですよ.3800万円で日本最速の計算機プラス計算プログラムを完成させちゃった長崎大の人とか,クール,というか粋だわー.世界的には13位でもね.