インド人がやってきた

去年の秋に、ウチの実験機器を使いに来ていたインド人が、論文まとめの相談にきた。日本生活が長過ぎてライフスタイルまで完全に日本化してしまい、帰郷してもお母さんの手料理がスパイシー過ぎて食べられなくなってしまった、あの学生である。

彼が今回まとめようとしている研究は、ある栽培植物種を世界中から集めてきて、それを遺伝学的に系統解析するって内容なんだが、普通、このテの実験をすると、だいたい近い地域で栽培されている系統同士ってのは、遺伝的にも近くなるもんなんだが、彼の結果は全然バラバラ。えー、おかしくね?

でも、データ自体が間違っていないことは色んな理由から明らかなので、これは逆に、何でバラバラになってしまうのかってのを考える方が面白いんじゃないかと思った瞬間、閃いた。彼が扱っている植物には、一般の栽培植物とは全く異なる特徴が、ひとつある。そしてその特徴だけで十分、バラバラになってしまった理由を説明することが可能だ。

彼と一緒に来ていた彼のボスも、僕の意見に「それだ、それ!」と身を乗り出して賛同してくれた。

うむ、今日は冴えてたな。