ラッセルの幸福論「努力」

幸運は、熟した果実のようにポトリと口の中に落ちてくるようなものではない。病気や人間関係のもつれ、競争や貧困や悪意が溢れているこの世界にあっては、幸福であるためには次々と襲いかかって来る不幸の原因を上手く処理する方法を見つけなければならない。大半の人は裕福でもなければ気立てがいいわけでもなく、平穏な生活は堪らなく退屈に思われる。健康を維持できる保証もなければ、結婚は幸福の源どころか不幸の原因にさえなり得る。
 以上のような理由から、多くの男女にとって、幸福とは神の贈り物であるよりは寧ろ達成されるものでなければならない。そしてこれを達成するためには、内的および外的な努力が必要不可欠なのである。

全くだ。