再読・最強の哲学入門。

やっぱこれおもろいわー。著者の飲茶さんって人の書く文章がもう、熱過ぎてタマランね。

僕たちは、普段、自分の無知を自覚することなく、まるで当たり前のように毎日を過ごしている。生まれて物心ついた頃から、幼稚園なり、小学校なり、大学なり、会社なり、と決められた施設に通い、そこで決められたことを何の疑問もなく営々とこなしてきた。そして疲れて帰り、ほんのひとときの余暇をテレビやゲームで潰し、寝て起きて、また通って…、それを老いて死ぬまで繰り返す。
 でも、そんな当たり前の生活を成り立たせている、この「世界」について、僕たちはいったい何を知っているというのだろう? なぜ空間があり、地球があり、そこに石や水などの物質があるんだろう? そんなもの存在なんかしなくても全然よかったはずだ。そもそも宇宙は「完全なる無」であっても良かったのである。いや、むしろ、その方が自然なくらいだ。なぜわざわざ空間や物質なんてものが、できなければいけなかったのか? そして、そんな物質がゴチンゴチンと他の物質とぶつかってるうちに、なぜか人間という存在ができてしまい…、それが学校に行ったり、会社に行ったり、人間関係に悩んだりしている。これはいったいどういうことなのだろうか? そもそもこんな日常の存在自体、本来あり得ないじゃないか? でも、僕たちは、そんな途方もなくあり得ない、謎だらけの世界や日常を、わかりきった当たり前のこととして受け入れ、大した疑問もなく平然と過ごしているのである。そして、ついには、こんなことまで言い出しはじめる。

「ああ、もっとなんか面白いことないかなあ」

しかし、もし…。もしもソクラテスが言うように、無知――すなわち、自分が何ひとつ「ホントウ(真理)」を知らず、真っ暗な闇の中に放り出されて、訳も分からずにただ生きてるのだと言うこと――を深く深く自覚したとしたら…。もうそんなことは絶対に言えない。これほど驚異的なことが目の前で起きているのに、それをそのまま見過ごして退屈に生きていくなんて、絶対にありえない! そして、そのときにこそ、僕たちは真の意味で、「知りたい」と願うのではないだろうか!? 「学びたい」と思うのではないだろうか!?

そうだ、そうだ、そうなんだよ! 世界に神秘があるのではなく、この世界があること自体が神秘なのだー!

史上最強の哲学入門 (SUN MAGAZINE MOOK)

史上最強の哲学入門 (SUN MAGAZINE MOOK)