熱き者ども

学会は楽しかったなー。育種学会の若手の会は本当に熱い人間の集まりで、毎回夜遅くまで議論が尽きない。

今回は飲み会の参加者に脂質の研究をやってる人間がいて、「脂質ってのは自己と非自己を区切るための「膜」を作るのに絶対必要で、それがなくては生命は絶対に存在し得ない。実際に、タンパク質でもDNAでも、種が変わるとその配列や構造が変化するし、変化することが許されているパーツだけど、脂質は全ての生命でほとんど共通している。実際に、脂質の組成をほんの僅かに狂わせるだけで、生命は致命的に破壊される」と言われたときには目から鱗が落ちた。ポトリと。

その話を聞いて思い出したことなんだが、去年の夏頃、Nスペで深海の熱水噴出口で生命が誕生したと考える研究者たちのプロジェクトを追ったドキュメントがあった。で、番組がインタビューしていた研究者の中に、ラボで熱水噴出口付近の環境条件(350℃・3000気圧)を再現して、無機物から有機物を作る実験をしている人たちがいて。で、そういう条件が揃うと本当に膜状の有機物が生成されることを実証しちゃったんだけども、その人が最後に言った台詞がもうメチャクチャ格好よかった。

生命はこの広く長い宇宙の歴史において、たった一度だけ、この地球でのみ誕生したものなのか。或いは、条件さえ整えばどこででも誕生し得るものなのか。我々はその謎に挑戦しているのです。

この言葉を聞いた僕は、自宅のソファの上でヒックリ返ってしまった。そして思ったんだよな、「研究者の仕事の半分は、夢を語ることや」ってさ。

そういう話をしたら、その場の一同全員が大盛り上がり。そうだ、お前ら、夢を語れ!

・・・なんてね。でも実際、あのインタビューを聞いてなかったら、さきがけに受かることはなかったかも。