スマートな文章

昨日まで後輩の学振申請書を見てたんだが、あちこちの文章が、スマートじゃない。言うならば、こんな感じである。

「昨年度、私は○○に採用されましたが、これは私にとって重要な意義があると思っています。なぜなら、他の分野の人たちと交流することは、自分の研究を分かりやすく説明する訓練にもなりますし、また異分野の話を聞くことで大いに刺激を受けることもできるからです。」

何がスマートじゃないかと言えば、同じ意味のことを、もっと少ない文字数で表現することができるってことだ。

「昨年度私は○○に採用され、他分野の人たちと交流する機会に恵まれました。これは自分の研究を分かりやすく伝える訓練になっただけでなく、異分野の話を聞くことが大きな刺激にもなり、非常に有意義でした。」

スッキリー。

今日見てる申請書もそう。「稔性が回復して種子がついた」って、「稔性が回復した」で充分でしょ。そういう“意味の重複”とか、“文字は並んでるけど重要な事は言ってない”部分を限界まで切り詰めていったものが、スマートな文章ってやつである。他にも、スマートな文章を書くテクニックは幾つかあるけど、とにかくよく纏まってるのは下のリンクだ。
http://disadvantaged.web.fc2.com/

ページ冒頭の文章が秀逸。

実際人はエリートではないし、またエリートである必要もない。
しかし、ある種の文章を書く場合、人は、あたかもエリートであるかのように書くのでなければならない。

文才に恵まれた人間を除いて、よい文章は訓練された人間にしか書けない。研究のためとか言ってその時間と労力を省いてしまうと、申請書や論文を書く段階で圧倒的に不利になってしまうってことは、胸に刻んでおくべきだ。