月曜日

土・日・月と嫁が来てた。残念ながら明日やってくる僕の誕生日かつ僕らの結婚記念日は一緒には過ごせなかったが。

土曜の朝に嫁と東京で落ち合い、新宿で買い物。Michel Kleinで僕の服を、COMME CA DU MODEで嫁の服を買う。コムサの女性店員二人が非常に美人だったのが大変良かった。

夜は嫁がシアトルにいたときに世話になったという家電メーカーのアメリカ支社長のご家族と食事。死ぬほど寿司を御馳走になった。このおじさまとの遣り取りで特に印象に残ったことが一つあって。

「ところでけんちゃん、この後一つ提案があるんだが」
「はい、何でしょう?」
「寿司の後に焼き肉を食べるというのはどうだ?」
「無理です絶対(笑)」

「だから言ったじゃない」と奥さん・息子さんからも非難轟々だったのだが、僕自身は妙に納得した。嫁からはこのおじさまが会社でも人望が篤いことを聞いていたのだけど、魅力がある人間ってのはどこかネジが飛んでいるところがあるもんだよな、と。全くハミ出たところがない人間ってのは確かにつまらない。普通の人が思いもよらないことを平然と口にし、やってのけるっていうのは大事な要素かも知れない、と。あと、それも度が過ぎると家族から顰蹙を買ってしまうということも学んだけど(笑)

日曜は特に大したことはしない予定だった。イーアスで買い物をし、コーヒーファクトリーで豆を、シーゲルでケーキを買い、家で晩御飯を作って食べるだけ。が、晩御飯後に事件は起こった。

洗い物を終えたあと、流し台を洗っていた嫁が突然、
「ありゃりゃりゃ!? ああああああこりゃいかん!!」
と叫んだのでどうしたのかと覗いて見れば、右手の薬指がパックリ切れて血が流れている。先日割ったコーヒーポットの破片がまだどこかに残っていて、その破片の上からこすってしまったらしい。すぐにタオルを持ってきて上から押さえつけ、止血。5分立ってから傷口を確認するが、まだ血は止まらない。何となく縫わなきゃいけない気がする。

が、このあとの嫁の行動は「さすが」だった。

嫁は僕にメモを取れる体制を取らせたあと、電話を掛ける。つくば市には「救急医療情報コントロールセンター」というサービスがあって、休日や夜間に救急対応している医療機関をご案内してれるらしい。

「今救急で外科の当直医がいる病院と、そこの電話番号を教えて頂けますか?」

で、電話口で嫁が病院名と電話番号を復唱するのを僕が書き取る。そのあと患者の年齢と性別を聞かれたのだろうが、嫁が

「35歳、女性です」

と答えていたのには吹き出してしまった。完全に看護師の口調になっとる。

幸いすぐ近くの病院で対応してもらえそうだったので、すぐに車で移動。救急搬送口から入って受付を済ませて待合に入ると、間もなくして嫁が呼ばれて診療室に入っていった。

僕がそのまま待合室で座って待っていると、別の急患の人が救急車で運ばれてきた。救急処置室を医療スタッフが出入りする度に中の遣り取りが聞こえてきたのだけど、

「○○さん、今まで大きな病気をしたことはありますか?」
「はい?」
「入院したことはありますか?」
「痔」
「痔?」

というのが耳に入ってきたときには思わず笑ってしまいそうになり、いかん、場をわきまえろ!と必死に堪えた。救急処置室の様子は嫁がいた診療室ではよく聞こえていたらしく、その後患者さんは「先生、僕、死ぬんでしょうか」と聞いて「死にません」と一蹴されていたらしい。救急って結構シュールな場面も多いのかしら。

で、嫁の治療を担当したのが随分若いお医者さんだったのだけど、彼の患者に対する指示の仕方がなっていなかったらしく、「そんな言い方じゃ患者さん全然わかりませんよ!具体的に何のためにそうするのか言って頂かないと!」と言ったら「も、もしかして医療関係者の方でしょうか」「そーです!」みたいなことになってたらしい。嫁、強えー(苦笑)。

そんなこんながあって、嫁は再び京都に戻っていきました。

そんな嫁だけど、先月の採用面接を見事勝ち抜いて、今度の6月から看護学科の講師に昇格することが決まった。5年後には准教授になる可能性が高いポジションらしい。さあ、僕たち夫婦の将来はいよいよ先が見えなくなってきたぜ(笑)。