ルームメイト

ようやくルームメイトを紹介する機会がやってきた.記念すべき一人目はボブ=エリオット.といっても共に過ごしたのはほんの2週間ほどに過ぎない,というかワタクシがこの日記を付け始めた頃には既に彼はいなかった.職を求めて故郷のサウスカロライナと帰ったらしい.
で,どうしてそんな,2週間しか一緒にいなかった人物を最初に紹介するのかというと,最初に出会ったときのコトが忘れられないからである.
彼との出会いは,今のアパートを契約して2日目,ワタクシが昼飯を食おうとアパートに戻ってきたときのことであった.彼はきキッチンで何かを料理している最中であった.お互いに軽く自己紹介をした後,彼のナベを覗き込むと,見覚えのあるヌードルが踊っている.まさかネ,と思いつつ,
「日本の麺に似てるね」
と言ったワタクシに彼はあっさりと答えた.
「ソバだよ」
��( ̄□ ̄;)!!エエッ!?まるっきり日本の麺じゃん!!まさか.アメリカのこんな小さな町で,ソバが手に入るなんて夢にも思っていなかったヨ.
「日本ではどうやってソバを食べるんだい?」
と言われて困った.サスガにダシとかツユとゆ〜類いのモノは売ってはおらんようである.
「昆布とカツオブシからダシを取って,それから醤油と,味醂を少々…」
などと英語で言えるわけがない.
「醤油で」
のヒトコトでカンタンに済ませることにした.
「へえ,そうなんだ.ソバ作るのは今日が初めてだから…コレでいいかい?」
と彼が冷蔵庫から取り出したのはソイソース,まさに醤油であった.まあ醤油くらい売ってるよな,と思ったところが,彼は更なるビツクリアイテムを用意していた.こんなのもあるよ,と冷蔵庫から出てきたのは
たまり
である.そんなモンまで売ってるのか!?驚驚愕愕のワタクシに,彼は追い討ちを掛けるように言った.
「醤油とタマリの違いって何だい?」
��( ̄□ ̄;)!!
ソンナコト,日本語で聞かれたって,答えられない.何とかテキトーに切り抜ける方法はないか?と考えること0.5秒.
「ま,ビールと生ビールの違いみたいなもんかな」
今思うと,本当にテキトーである.だがとりあえず切り抜けることには成功した次第である.で,彼のソバをワタクシも少々イタダイテみたのであるが,ナカナカ旨かった.下手に手を掛けてソバツユ作るより,醤油だけで食った方が余程旨いという事実を,アメリカで悟ったワタクシであった.
そんな風にして出会ったボブであったが,彼は日本好きかつ本当にイイヤツで,夜に日本茶を入れて部屋まで持ってきてくれたり,実に色んなサービスを提供してくれた.パンクしまくりの自転車を譲ってくれたのも彼であった.
そんな彼はしかし毎日夜遅くまでバイトをしていていつも死にそうな顔をしていた.で,サスガにマトモな職が必要だと思ったらしく,故郷に帰って行ったワケである.
で,彼が出て行った直後,空いた部屋に新しいルームメイトがやって来た.名前はジョー=エリオット.ボブの実の兄なのであった.…続く