vol.12
同窓会の日取りは,12月の29日と決まった.彼女のカムバックを喜んでみんな来たがったが,結局その日に都合を付けることができたのは,彼女を含めて6人だった.予備校仲間の半数は多忙を極める研修医だから,仕方がない.
そして当日.ワタクシは緊張しながら集合場所へ向かい始めたが,途中で友人からメールが届く.
結局彼女は急遽仕事の都合が悪くなって来られなくなりました.
まあ,彼女も研修医だからな….簡単に休みが潰れるのはよくあることだろう.
彼女は来れなかったが,それでも集まった五人はお互い久し振りの面々である.大いに盛り上がった.特に仙台の友人には,今までありがとう,の感謝の祝杯を上げた.その後誰かが,こう言った.
「ケンが彼女と絶交状態になってから,もうどうなるかと思ってたよ」
そう.もうどうにもならないと思っていた――
だけど,こんなに手放しで喜んでていいのだろうか.彼女が「予備校同窓会の幹事して」と言ったときに思い浮かべる予備校仲間と,我々の中での予備校仲間は,同じなんだろうか.この予備校仲間全員とまた仲良くやりたい,と彼女が思っていると考えるのは正しいのだろうか.
それに,「今日は彼女と会えなかったけど,また次の機会に」なんて簡単に言っていいのか?その「次の機会」は,いつやって来るんだ?だったら――
ワタクシは,仙台の友人に言った.
「彼女のケイタイの番号とメアド,教えてくれ.」
自分からコンタクトを取らなければ.
…続く