vol.15

一昨日の同窓会に彼女が来なかったのは理由を,彼女は正直に言った.


「前の日に誰が参加するのか聞いてんけど,あのメンバーやったら別に行きたくなかったし…そやから彼にやっぱり行かんわって言うてん」


「そうか.」別にワタクシはもう驚きもしなければショックもない.それに恐らく,その「特に会いたいとは思わないメンバー」の中には自分も漏れなく入っていたことだろう.さすがに彼女もそこまでは言わなかったし,自分も敢えて確認しようとはしなかったが.
とはいえ,彼女がそれらの連中に対して「もう絶対に会いたくない」と思っているわけでもないので,各々が個人的に彼女にコンタクトを取れば,事は容易に解決する気はする.ただ,自分も彼女にたった一通のメールを送るのすら一日掛りだったわけで,だから判断は一人一人それぞれに任せるしかない.或いは,「彼女が会いたいメンバー」も含めて,また仲間が集まるような機会でもあれば,どうにかなるのかもしれない.だがそれもまた,いつになるのか分かったものではないのだが.


一通り予備校仲間の話が終わると,また雰囲気は元に戻った.そしてまた会話を進めているうちに,何と,最近彼女に彼氏ができたという.


「え?え?マジで!?」


こっちの話はさすがにびっくりした.連絡を取り続けていたはずの友人ですら知らなかったのだから.よかったな…と言いかけて,はっと思い当たる.


「ん?あのさ,じゃあもしかして….今日これからデートやったりするんちゃうん?」


「うん…」


もう大笑いだった.雪と渋滞の中を何時間も運転して,女の子をデートの待ち合わせに送り届ける男ってどうなんだ.しかも元々彼女は新幹線で帰るつもりだったわけで,ワタクシの行動は結果的に彼女が彼と過ごす時間を大幅に減らすことになる,というか新幹線ならもうとっくに着いている.二重の意味でサイテーだった.
「あはは.もうとんでもないピエロやわ」


そして運転すること6時間強.ようやく静岡ICに到着した.ワタクシは彼女に言った.
「ところで,もちろん彼氏には会わせてもらえるんやんな?」
「ええっ?」
…続く