vol.4: 三日目

三日目なのに,二日酔い…イテテ.午前中は頭痛と戦う.でまあ午後・夜と相変わらずセッション続きだったが,晩御飯の時にこの夏から新たにポスドクとして我がラボへやってくる中国人,Fengと話し込む機会を得た.彼は今までトウモロコシのゲノム進化(というよりは分化)の研究をしてきたんだが,コッチに移ってからは今ワタクシがやっているフィールドで研究を進めるコトになる.
その彼が,データベースから面白い情報を拾ってきたんである.ワタクシも彼に自分のデータを見せる.自慢ではないが,ゲノムの進化とトランスポゾンの関係について研究している人間にとって,ワタクシのデータは驚愕に十分値するものである.この瞬間から,ワタクシとFengはお互い脳ミソをフル回転させて仮説を立て合い,議論を交わし,少し黙ってまた考え,じゃ,こんな仮説はどーだ?可能性はあるがどうやって証明する?寧ろコレはどーだ?いや,もしそうなら全く違うデータが出るはずだ,ありえない…などとやってるウチに時間も忘れてしまった.
オンナノコと深いハナシをしている時間も大切だが,こーやって自分とほぼ対等にある人間とデータを共有して,あらゆる可能性について議論し合うコトの楽しさ,というか興奮はナニモノにも代え難い.


自分達は今この瞬間に,世界中他の誰も知らないことについて,誰も考えたことのないことを考えている


コレが錯覚に過ぎず,競争相手に先を越されてしまうコトも,まあしょっちゅーな世界ではあるが,ソレがタマラナイ.こーゆー議論はボスが相手ではデキナイ.マズ何よりも結果を出して,仮説を証明してから持って行かないと「可能性に過ぎない」と一蹴されてしまう.だからどんな仮説を立てるか,どういうアプローチを取ってソコに到達するかというのは自分で考えるっきゃナイ.コレをヒトリで考えていてもモチロン面白いが,二人で考えると何十倍も何百倍もオモチロイのだ.Fengと議論して久しぶりにこの感覚を思い出した.そして今,革めて思う.


自分は,研究者だ と.


無論,相手さえいるなら主夫でもヨイ(爆).