木曜日

研究予算申請書の提出締切前夜。さっさと提出してしまいましょうかというパートナーを引きとめ、まだ時間があるんだから幹部の人を捕まえて読んでもらいましょう、と言ったのが昨日。で、幹部の人たちも急いで読んでくれて、今日の夕方にはコメントを付けて返してくれた。それを受けて再び二人で話し合い、修正方針を決める。そして今、最終校正中である。

「やっぱり読んでもらって良かったでしょ?」

別れ際に僕がそう言うと、パートナーも頷きながら

「いやー、内藤さんに言われるまでは、そういう発想が全くなかったんですよ」

ほんと、そういう研究者って凄く多い。でも自分が書いたものを、誰にも読んでもらわずに出してしまうなんて、絶対やっちゃいけないことだと思う。まあ僕個人の立場からすれば、そういう人が多ければ多いほど、研究費を獲得しやすくなるので都合がいいとは言えるのだけど。

申請書ってのは飽くまでも審査員に読んで「もらう」ものなんだから、読みやすさ、分かりやすさが命なんだよ。どんなに素晴らしい構想だったとしても、審査員が途中で「分からん」とか「飽きた」とかなってしまったら、それで終了。真面目に審査しようとしてくれる審査員ばかりじゃないし、全然分野の違う人に審査されることだって考えられる。だから提出前に誰かに読んでもらって、読みにくかったところはないか、読んでて面白いと思えたか、そのあたりを確認するのが本当に大切なんだよね。書き手が込めた意味と、読み手が受ける印象が、全然違ってしまっていることだってあり得るわけで、でもそれは誰かに読んでもらわない限り、絶対に分からないわけで。