水曜日

インドネシアより帰国! コーディネーターの段取りが悪すぎて最初の3日は散々な目に遭った。収穫でクソ忙しいときに、僕はインドネシアなんかで何をやってるんだと本気で思ったわ。あのおっさんは人間的にも最低だったのでもう絶対許さない。

でも探索が始まればこっちのもの。残念ながらインドネシアは現在乾季で、目当ての植物はほとんど見つからなかったけれど、それでも山奥の村々を回って、田畑に植わっている様々な珍しい作物を見たり、それらについて農家のおっちゃん・おばちゃんに話を聞くのは凄く楽しい経験だった。このマメはここの言葉で何て呼ぶの?どうやって食べるの?みたいな話を続けていると、家の奥から別のタネを出してきてくれたりする。調子に乗ってくるとどんどん出てくる。自分で食べるものを自分で作ってる農家の人たちは、こんなに沢山の作物を作ってるのかと驚いた。もちろん英語は通じないので、現地の研究所スタッフに同行してもらうわけだけど、そのスタッフも「こんなのがあるのか!へえ!」みたいに驚いたり喜んだりしてた。自分たちでも集めてみよう、という気になってくれれば嬉しいんだけどな。

観光で有名なバリ島にも二日間滞在したけれど、青い海も白い砂もほとんど見ていない。僕らはとにかく山を回っていたから。残念ながら、目当ての植物は急速に失われつつあるという現実に直面しなければならなかったけど、それが却って僕の中の使命感みたいなものに火を付けた気がする。ジーンバンクというものの役割を、今回ほど痛感させられたことはなかったな。

あと、これからも探索を続けることは、自分の強みになる、と思った。現場の農業や風土や文化に直に触れた人間なんて、ゲノムとか遺伝子とかをやってる研究者にどれくらいいるかって、多分ほとんどいないはずだ。逆に、探索を中心にしてる人たちには、分子レベルの仕事をしてるなんてほとんどいない。だから、もしかしたらだけど、僕には他の人とは違ったレベルやスケールで物事を見たり、考えたりするような人間になれるかも知れない。少なくとも、それが出来るようになれば、きっと夢はまた一歩現実に近づくはず。

この文章を書いてるうちに、人生の3原則を久々に思い出した。

1.死なないこと
2.楽しむこと
3.世界を知ること

だよね。もっと世界を知らなくては。