月曜日

この週末は楽しかった!友人たちとランチに出かけ、夜はそのまま我が家でお茶、晩御飯焼きそばパーティー。先週は一週間みっちり仕事をしてたので、心のバランスを取り戻したのだ。今週も仕事するぞー

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ちょっと時間が経ってしまったのだけど、先週のニュースが流れて以来ふとしたときに思い出すので書いておこう。

先週発表された文化勲章の受賞者に、山田康之先生の名があった。研究において僕が山田先生と関わるようなことは全くなかったけれど、大学4年のときに1対1で会談したことがある人なので、よく憶えている。
 古い友人が医学部の教授の息子だったんだけど、その親父さんが友人に「内藤くんは確か農学部だっただろう。私の高校時代の先輩が今なら先端技術大学の学長をやっているから、会ってみたければ私に連絡をしてくるように言いなさい」とか言ってたらしい。もし奈良先への進学を考えているのなら、口を聞いてやろうってことだろうか。僕自身はもう修士から国の研究機関で実験できることになっていたし、何か親父さんの上からな言い方も気に入らなかったので、友人には「考えさせといてもらうわ」とだけ返事をして流しておいた。奈良先の学長がどこの誰で、どんな人なのかも全然知らなかったし。
 ところが、しばらくすると再び友人がその話を振ってきた。どうせ会うだけならタダなんだし、奈良先の学長だったら何かいい話が聞けるかも知れないし、と思い直して親父さんにメールを入れた。しばらくすると「では○月×日に奈良先の秘書室に行きなさい。以上」というだけのメールが来た。やっぱりアイツの親父は好かんと思ったのだが、アポは成立したらしい。
 当日約束の時間の5分ほど前に言われた場所に行ってみると、若い男性が現れてちょっとビックリした。学長の秘書って美人なのかなとか思ってた自分が少し恥ずかしかった。そのまま待合室に通されたが、部屋の中のテーブルには「日本の頭脳100人」という本が置かれていて、開いてみるとそこに山田先生の名前があった。ここの学長はそういう人なのかと、そのとき初めて知ったのだった。
 学長室に入れたのは結局30分以上経ってからだった。僕は自分の名を名乗り、友人の親父さんが気を利かせて下さったらしくてと言いながら向かいの席に座った。目の前には、恰幅のいい、威厳のある爺さんがいた。それが山田先生だった。山田先生は開口いちばん、

「それで君は私に何をして欲しいのかね?」

と言った。やっぱりそういう話になるよなぁと思いながら、「いいえ、実はそういう何かを期待して来たわけじゃないんです。僕はこれからこの世界で実力で勝負をしたいと思ってますし、今コネでどこかに入れてもらえたからと言って、それだけでやっていけるような世界じゃないでしょうから。なので、今日はもしお時間がよろしければなんですが、この奈良先端技術大学の学長にまでなられた人から、研究者として持つべき態度や人生訓なんかを聞かせて頂くことができたら、と思って来ました。まだ学部生に過ぎない僕にとっては、これほど有益なことはないと思いますので」と言った。頭の中で何度もシミュレーションをしてたのだが、実際に口にするときには緊張した。

・・・つづきは明日だな。長くなりそうだ。