日曜日

ただいま日本。1週間の国際学会を終えて帰ってきましたよと。世界は進んでたなぁ、本当に。でも結局大事なのはバイオロジー。ビッグ・データを扱っているだけの研究には、多くの研究者が辟易してきている。どんなにシーケンス技術が進んでも、何のためにそんな大掛かりな研究をするのかってのは本当に大事。「何のために」ってただ単に「○○を明らかにするために」とかそんなんじゃ全然ダメで、もっと大きな目標が必要なんだよ。世界が変わる、あるいは世界観が変わるような、そういうでっかい目標が。

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今回の学会中、とうとうアメリカ時代のボスと再会してしまった。彼女からは本当に色んなことを教わったけど、あんまりにもヒステリックだったから二度と会いたくなかったんだよね、本音を言うと。でも彼女が僕のことを物凄く気に入ってくれていたのは確かで、しかもアズキのライバル、ササゲのゲノムを読んでる研究チームが、今彼女が属している大学の同じDepartmentにラボを構えているのである。さらにさらに、彼女は現在アメリカ科学アカデミーの幹事になっちゃったし。こういう状況なら、僕にとって彼女ほど頼りにしなくちゃいけない相手はいない。。。というわけで、思い切って彼女が発表するセッションに顔を出したわけである。僕を見つけた彼女は狂喜して僕を隣の席に呼び、相変わらず早口で喋りまくってくれて全然聞き取れねえ!(苦笑
 ボスの発表はジョージア時代の僕の研究が中心で、発表中も僕の名前を連呼してくれてた。セッション終了後は一緒にランチを食べましょう、お寿司がいいわね?と強引に会場の外へ拉致され、そこでようやく落ち着いて話ができる状態に。僕は準備してきた紙資料(笑)を取り出し、説明しながら彼女の前でページをめくっていく。彼女がいい意味で興奮してるときは必ずFantastic!と口走るんだけど、僕がページをめくる度にそのFantastic!が出てきたので、助かった、と思った僕。彼女と研究の話をするときには本当にナーバスになっちゃうんですよ。十中八九はボロクソにやられるから。とりあえずこれで突破口は開けたと思い、

「ボス、今あながたいるRivesideにはTim Closeという人がいますよね、彼はCowpeaのゲノムをやってるので、今度僕があなたのもとを訪れたときに紹介して欲しいのです。」

と頼んだら二つ返事でOKがきた。それどころか「あなたと彼の2人で一緒にセミナーをやる段取りにしとけばPerfectじゃない?」と。願ってもない申し出だ。

というわけで、今年なるべく早いうちにUC Riversideに行く。ジョージアから日本に帰ってきた時には、もう英語にうんざりしてて、なるべく日本語オンリーの環境に引きこもっておきたいと思ってたけど、先月のアメリカ出張を経て思ったんだよね。国内のプロジェクトは残念ながら絶望的に世界を見てない。僕が本当にやりたいことをやり続けていくには、日本の外でネットワークを築くしかないと。だから、そうする。面倒くさいし、不安でたまらないけど、信じて走れ。