土曜日

韓国から帰ってきた! 今回の学会参加はリョクトウゲノムやってる連中との競合を避けるってのが何よりの目的だったので、内心ちちょっとナーバスになってたんだよね。相手方の教授も若くてなかなかアグレッシブな人っぽかったし。でも、いらぬ心配だった。いつものように「Wild&Sexy」をキーワードにしたプレゼンで野生種の凄さをバーンと見せ付け(しかも15分で4回も爆笑を取ったった)たら向こうから話し掛けてきたもんね。で、僕は尋ねる。

「UC Riversideでやってるササゲ、あなたたちのリョクトウ、そして僕らがやってるアズキ、同じVigna属のゲノムを3つまとめて論文にすればBig Paperになると思うんだけど、興味はある?」

相手の返事は「Yes」ときた。

よっしゃー!じゃあとりあえず夏…そうだな、7月くらいにパートナーと一緒にソウルに行くから、そのときに詳しく話し合うってことでOK?

「OK」

ということで、夏にもっぺん韓国行くぜ!

学会ラッシュが終わって一週間もしないうちに、フラフラになりながら米・韓を立て続けに訪れた甲斐はあった!何もしなければお互いに敵同士のままだったわけだしね。お金を掛けた研究だから少しでも付加価値をつけてインパクトの高いジャーナルに出したいけど、そこに時間を掛けてるうちに先を越されたら価値が半減してしまう、というチキンレース状態じゃ精神的にも全然楽しくないし。基本的にヒトって動物は本質的にリスクを避けたがる生き物なんだから、競争相手から協力しようと言われたら飛びついてくるはず、という僕の読みは、というか希望は、見事にハマッてくれたわけだ。研究では頭と手を動かすのが大事なのは当たり前だけど、足と口を動かすことだって大事なんだな、やっぱり。

あと、今回の学会には生物研の幹部クラスの人も一人参加してたんだけど、その人からは「今回のミーティングで君は顔と名前を大いに売ったね」と言ってもらえたし、多分所内での株もまた少し上がることになるはず。いずれにしても、とりあえず近いうちに生物研の顔と言われるくらいにはなっておきたい。それくらいじゃないと、これからやろうとしてることを進めようにも進められなくなってしまうだろうから。

そして帰国翌日の今日は所の一般公開に伴って開かれたサイエンス・カフェのスピーカー。お客さんの笑い声が外に響くくらい盛り上げたった。オバちゃん達の反応が良すぎて、話してるこっちまで笑ってしまいそうだったけど。しかし最初に広報から「持ち時間50分、うち音楽が10分、プレゼン20分、質疑応答20分でお願いします」と言われたときには正直脱力した。音楽10分て。客寄せとか雰囲気作りがあった方がいいのは分かるけど、その10分をこっちに貰えたらもっとお客さんを楽しませてあげられたのに!…責めて5分くらいにして欲しいなあ…もし次にまたやらせて貰える機会があればだけど。

怒涛の春は、来週の県立広島大学・特別講義がまだ残ってるけど、とりあえず山場は超えた。一般公開で働いていた同期や同僚に「痩せた?」と言われたけど、そりゃ痩せるよなぁ(苦笑。5月はちょっとゆっくりさせてもらうことにしよう。