木曜日

出張おわり。昨日はさきがけ研究者の交流会で、領域の異なるさきがけ研究者が集まって互いの研究を紹介し合ったり、分野を超えた共同研究を立ち上げる切っ掛けを作ったりする場。他の参加者は電池とかマテリアルとかiPSとか人工生命とか頭良くないとできない研究ばっかり。そんな場に僕が参加することに何の意義があるんだろう、という不安は抱えつつ。だったら逆に思い切って自分の大目標をアピールするしかないでしょう、ということでドカンといくべ!最初の2分間のショートプレゼン、使えるスライドは1枚だけ。向かって右側に演題があって、他のみんなはそこからマイクとレーザーポインタでプレゼンしてたけど! 僕は敢えて演台のない左側に立ち、伝家の宝刀「伸びる先割れスプーン」を使ってプレゼンテーション。喋りかけたところで進行役の人に「マイクを使ってください」と突っ込まれたけど、「あ、このままでやらせて頂きたいんですけど、いいですか?」と言って押し切ることにする。

「僕がやってるのはアズキのなかまです。というのもアズキのなかまには砂浜に生えててメッチャ塩に強いのがいたり、土の中のpHを3にした方が生育が良くなったり、アルカリ性の岩の上に生えていたり、乾燥した砂の上に生えていたりするのがあるからです。で、このアズキのなかまを使って、18世紀にメンデルがエンドウマメを使ってやっていたのと基本的に同じやり方で、耐性遺伝子や適応性遺伝子を取り出してやろうとしています。それができたら、それをダイズとか他の作物に組み込んでやることによって、今は農業が出来ない土地で農業ができるように、そういう方向に世界を変えていきたいと思ってます。つまり、今レッドゾーンに入ってる地域に、グリーンシグナルを灯したいわけです!」

多分1分ちょっとしか喋らなかったけど、他の人たちに「プレゼンめっちゃ印象に残りますね。しかも目標のスケールが大きい!」と言わしたった。凄い人たちに凄いって言ってもらえると自信になるわしかし。

シンプルでデカい目標を掲げるのってやっぱ凄い大事だなと思った次第。自分が話しやすいし、聞く方も聞きやすくなるもんね。

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今日は東京ビッグサイトアグリビジネス創出フェアとかいう展示会で、ジーンバンクの展示ブースに立つ仕事。美味しい物や綺麗なものを並べてるブースが周囲に立ち並んでいる中で、地味な研究機関のブースに立ち寄ってくれる人などほとんどいない。ので、こちらから話しかけて呼び込むことになる。

「こんにちは、農水省ジーンバンクというところです。話のタネに古代米なんかどないですか?お土産に持ち帰ってもらえますんで。」

これで大体成功率は3分の1。ブランドというか肩書というか、「農水」という言葉を聞いた瞬間にみんなハッと振り向く(笑)。

学生と思しき相手には
「こんにちは。農水省ジーンバンクというところです。ちょっと勉強していきませんか」
と言えば100%釣れる。

僕の呼びかけに反応し掛けたけど、それでも立ち去ろうとしていく人には
「責めてお米だけでも貰ってってもらえませんか?ノルマがあって250個配らんとあかんのです!人助けやと思って!!」
と大袈裟に頼み込むと、何人かに一人は笑いながら来てくれる。

一緒にブースにいた人が「内藤さん商売うまそうだなあ」
「よく言われます、研究者にしとくのはもったいないって(笑)」