火曜日

ホッと落ち着いてみれば7月もほぼ終わりである。いや、実際のところ落ち着いているわけではないが。

今月はほんとに怒涛のロードだった。しかしそんなことを言ってるうちに、今週の金曜は京大の生態学研究センターへ、週明け月曜には岡山大、火曜に昭和薬科大、とまたもや続々と予定が埋まっていってしまう。まあ、予定の半分は自分から埋めていってしまっている、とりあえず今は頼まれたものは全部引き受けてるからなぁ。力を貸してくれる人は、どこにいるか分からないから。

抱えるものが大きくなっている分、問題はあちこちで起こる。でも同時に、吉報もあちこちから届く。そんなもんでいいんだろうと思う。

        • -

先々週、今月2度目の沖縄訪問。羽田から乗った飛行機には、偶然にも訪問先のチームリーダーも同乗していた。おや、偶然ですね、と挨拶しているうちに、

「明日時間があるなら県庁に行きませんか」

と言われる。僕らの研究には是非とも協力したいけど、我々は県の研究所なので、県庁の理解が必要だからと。その通りですねと同意。那覇に到着後、リーダーさんはさっさと行ってしまった。僕は空港で昼を食べてからレンタカーを借り、うるま市の研究所に向かう。距離にして30kmほどなのだが、思っていた以上に沖縄本島は車が多くて、あちこち渋滞している。1時間半掛けてようやく到着。駐車場に車を停めると、訪問先の秘書さんから電話が。

「県庁のアポが急に取れたということで、リーダーは県庁に向かいました。内藤さんにも至急県庁に向かって欲しいということです。」

え…??…って、今ですか!?

「はい、、、そうなんです」

ウソでしょ!?今まさに研究所に着いたところなんですけど!!県庁って那覇ですよね!?まさかの、今来た道を引き返せ、ですか!!

あまりに可笑しくて言いながら爆笑してしまった。何となく思ってたけど、あのおっさん、思い付いてから行動起こすまでのタイムラグが無さ過ぎる。自分が走り出してから「何やってんだ、早く従いてこいよ」ってタイプだ。責めて、言ってから走ってくれれば、周囲は随分ラクになると思うんだけど。

ということで、本当に今来た道を再び1時間半掛けて引き返し、見るからに立派な県庁ビルに入る。企画部長とか、実際に結構偉い人に顔を通してもらって、沖縄にもこんな植物が生えているんですよ、その研究のため、ご支援のほどお願いしますと頭を下げる。意義はすぐに分かってもらえたっぽいし、沖縄県からのゴーサインはもらえたと解釈した。

県庁では話が終わると、今度こそ訪問先の研究所へ。。。とはならず、直接食事会の会場へ。といっても、研究所の近くだったので、結局さっき往復した道のほとんどをもう一回走ることになるわけで。「もう何度目なんだよ、この風景!この看板!」とならざるを得ないわけで。しかも、訪問先でセミナーをしてそれなりにお互い話し合ってから食事会、ってなる予定だったのが、研究所のほとんどの人とお店で初顔合わせですよ。合コンか、っていうか、実際合コンみたいなノリの食事会になってしまった。向こうはみんな若かったし。

ホテルに一泊して、二日目、ようやく研究所の人たちに、僕がどういう問題意識を持っているか、なぜアズキなんかやってるのか、そしてこの沖縄に生えるアズキのなかまにどんな魅力があるのか、という話をすることができた。確かに、僕らがDNAを送り、その解析データを返してもらえれば、それで共同研究は成立する。でもやっぱり送られてきたDNAがどんな植物のDNAなのか、あるいはそもそもDNAを送ってくるのがどんな人間なのかを、共同研究者には絶対に知ってもらっておいた方がいい、というのが僕の信念なわけで。しかも、図らずもそれを沖縄県庁に対しても出来たわけだから、この旅の意義は大きかったと思う。

すごい勢いで振り回されたけど(笑)