水曜日

先週のさきがけの年末報告が終わって、今週論文のリヴァイズを投稿して、ようやく一息。講演依頼とか国際出張の手続きとか細々した仕事はあるけれど、本当に一段落である。ふう。

で、そろそろ一発目の花火をドーンと打ち上げたいところなのだけど、最後のピースがモヤッとしている。こっちも早く片付けてしまわないと色々マズいのだけども。

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さて、先月のブログで今度書くと言ってたことについて。
先日参加した(といっても10月だったけど)学会の場で、「ラボ運営はどうあるべきか」ということについて小一時間議論を交わしたのである。

とりあえずラボの良し悪しを判断するには二つの評価軸があるだろう。業績が出てるかどうかと、構成員がハッピーかどうかだ。僕が行ってたジョージアのラボは、業績は凄かったけど決して良いところだとは思えなかった。ボスの激しいプレッシャーに打ち負けてしまう人間が続出していたからだ。なので、僕自身は基本的に放任主義的なラボ運営をしようと思っている。

しかし、だからと言って全くの自由と言うのも良くないのではないか。学生たちは好きなことを好きなようにさせてもらって幸せだと思うかも知れないけど、大した業績もないままラボを卒業すると後々不幸なことになる。

そこで僕は周囲の学生たちに聞いてみた。君たちはどっちのラボがいい?締め付けの厳しいラボと、放任主義なラボとだったら?

その場にいた全員が「自由な方がいいです」と答えた。その状況に、僕の中のセンサーが働く。全員がいいということは、多分正しくない。僕は一人を指名して尋ねる。どうして自由な方がいいの?

彼は答える。「僕は本当に研究が好きなんで、上から何も言われなくても一日14〜15時間はラボにいますから。」

ふむ。キミ学年は?

「M1です。」

もう論文は書いたの?情報系やしワリと早くに論文書けるやろ?

「国際学会で発表しました。」

論文は?

「…データは、溜まってます。」

やっぱプレッシャー要るやん!

そうだ。研究は楽しい。データが出てきて違いがハッキリしたりしてると本当に興奮してしまう。でも、それを纏めて筋道を付けて文章化するというのは面倒臭い。だからつい後回しにしてしまう…誰からも何も言われなければ。

そうか。では質問を変えよう。君たちがベストパフォーマンスを出せる環境はどんなところや?

「時々は何か言ってもらえる環境がいいと思いました」

だよな。僕も今そう思ったわ。基本的に好きにさせておきたいところやけども、多分構成員一人ひとりに適切なやり方で時々プレッシャーを掛けてみるのも必要なんやな。ベストパフォーマンスを発揮するには研究を楽しんでやってるというのが大前提であるのは間違いないとしても、でもそれだけではベストパフォーマンスには到達できない、と。

理想のラボ運営ってのはつまり、構成員全員の能力を最大限に発揮させられるような運営ってことなんだろう。なるほど。PIとして目指すべき方向はそこにあるということか。