土曜の午後

その後すぐに、ワタクシは彼女と食事をしたいたときに、いつの間にか彼女に起こった悲劇のことを気にしなくなっていたことに気が付いた。そしてそれは他でもなく、彼女が暗い話をや表情を全くしなかったからだった。そして更に恐らくは、そのときの彼女の意…

店を出て車に向かう途中、彼女に彼氏から連絡が入る。 「あ、もうすぐ京都に着くらしいわ」 実は今日から一週間の休暇を取っているらしく、それを利用して彼氏と二人で中国の世界遺産、黄龍と九寨溝を見てくるらしい。 「ええの〜。で、彼氏は今日はお前んト…

デザートが出てきた。美味しさは保証つきである。彼女はクリームブリュレを口に運んで昇天しそうな表情になっている。 「何をイキそーな顔しとんねん」 「えー?美味しいやん。美味しいやろ?」 「うん、特にブリュレが美味いね」 と下らない会話をしながら…

前菜とイカ墨を使った黒いパンを交互頬張りながら、少し変わったなと思った。一月に会った時は、仕事に対してやる気も出ず、自分の成長を感じることも出来ないといった様子だったのが、さっきの話からは自負のようなものが感じられたからだ。いい兆候かも知…

丁度夕方の開店時間である午後六時に、AL MATSUOに着いた。ワタクシらは二組目の客だったが、それから10分もしないうちに全てのテーブルが埋まってしまう。大した人気だと思った。美味いいから当然なのだが。 普段外食に使うような店とは段違いに丁寧な対応…

お寺は、境内に保育園を併設していた。彼女の母親は生前保母としてここで働いていたらしく、お墓もここの墓地に建てさせてもらったのだという。運動場で遊びながら親の迎えを待っている子供達や、迎えにやって来た母親達の横を抜け、裏の墓地に向かった。京…

花屋を見つけたとき、こんなところに花屋なんてあったっけ、と思った。そこは普段から人通りの多い通りで、ワタクシ自身今まで何度も通ったし、そのすぐ近くの場所をを待ち合わせの場所に使ったことも何度もあったからだ。 「あかんなぁ〜。普段自分に用事の…

今年の初めに書いた「オトシタカケラ」の「彼女」が、用事があって京都に出てきた。用件が済んだ彼女を車で拾ったとき、時刻は午後四時を回っていた。 「あり得へん」 一応約束では昼飯を一緒に食べることになっていたのだ。